破傷風菌との戦い(パート20)

「私の記憶を通して」。
この頃の私は、自分が生きているのか、今どこにいるのか、一体ここはどこなのか解らない。すると「ピンポン・パンポン、登院の面会時間はPM3:00からPM8:00までとなっています、ただいま8:00PMになりましたので速やかに退席下さい」。と院内放送が聞こえます。私は何回も「ああそうだ、私はまだ生きていて高浜病院で治療を受けているのだと院内放送で気が付きました。
看護婦さんが優しく。「小河さんごめんね、痛いことするけど、冷たいことするけど、がまんしてよ」などと必ず声をかけて下さるのです。この看護婦さんの言葉が私の心を癒しました。どれ程の励みになったことか。
幻覚を見ます、自分が「金縛」りになり苦しんでいます。自由が奪れ、言葉を奪われ、動くこともできない。それでいて「意識」が鮮明であります。気が狂いそうでした。特に夜が長く苦しい。院内放送でまた長い沈黙の夜がきた、夜が怖くて寝れません。「主よ助けてと祈る」。